2009年07月19日
彼と行動を共にするうちに分ってきたことがある。
このヒト、ただ腐ってるだけじゃないんだわ。
肌に触れたもの何でもかんでも、腐るものなら全部腐っちゃう。
倒したキメラをわざわざ腐らせてる時は
そういうことも出来るのかと思ったけど、
普段はグローブをはめてるから、本人の意思とは無関係みたい。
身体に宿った怨念のかたまりがそうさせるのかしら?
そこそこ彼を見慣れてきた私は、
ほんの時々だけどうっかり彼に手を伸ばすことがある。
だって、顔になんかついてること多いんだもの。
寝起きに、細かい石を頬にべったり貼りつけてた時はびっくりしちゃったわ。
苦笑される時もあれば、不意だと本気で驚かれることもある。
彼にこの話をすると、大抵軽い口調で
『体質だから』って目を逸らされて終わる。
それ、結構寂しそうなのよね、いちいち。なんか、気になるじゃない。
「リーオ」
「!」
「またオレの顔になんかついてんの?」
「…ううん、何もついてないわ」
「じゃ何でこのへんボーッと見て歩くわけ、躓くぜ」
「あなたこそいつの間に後ろ歩きしてたの、そっちの方が危ないじゃない。
こけて頭でも打ちつけたら、よっぽど大惨事だわ。
流石に髪の毛は削げないでしょ?」
「へーい、へい」
エデアは飄々とした口ぶりで前方に向き直り、
逼ってきた大きな木の根を軽いジャンプでよけてみせた。
…そういえば、いつから名前で呼ばれはじめたんだっけ。
彼の分のご飯用意するようになってからだったかしら。
(おっ、えっと、ありがと、リオさん?) そうそう、確かこんな感じだった。
そして私は薄情な事に、彼の名前をはっきりとは言えないでいる。
ラーバリスで町長から数度又聞きしたきりだもの。
自分のこといーかげんなこのヒトよ、自己紹介なんて何も無かったわ。
森が開け、狭い盆地に出る。
遠目に次の町が見えた。良かった、日暮れ前に着けそう。
本部から渡されていた地図を開き、現在地を確認する。
正面に腰を下ろしたエデアが"あとどんくらい?"と素気なく聞いた。
もう数日もあれば目的地に着くと答える。
本部が調べ上げたらしい、キメラの発生源。
「でも、詳しい場所は分かってないの。
この付近に着いたら私たちで探す必要があるわ」
「あ、そう」
聞くなら、今ね。
「…ねぇ、あなたの名前の由来って、聞いてもいい?」
「何、いきなり」
「なんとなく。私、自分の名前の意味、知らないから」
「へェ?」
「記憶が無いの。師匠に拾われる前のことは何も覚えてないわ」
「そりゃ難儀なこって」
「別に、そんなでもないと思うわ。
本部の師匠の部屋に住まわせてもらってたもの。
寝食にも不自由しないし、勉学の場も与えられたわ。
これが終われば、助手として仕事を貰えるようになるかもしれないのよ。
きっと身寄りのない人達のほうが、私なんかよりもっとずっと大変だわ」
「…オレの名前はキャプテンが付けた」
「キャプテン?」
「オレ、元海賊なんだわ。…ダイス、って聞いたことあっかね?」
「すごい!本で読んだことあるわ。歴史上最も悪名高い海賊軍ね」
「…まァ、異論はねぇな。
神聖な光の女神サマにちなんで付けられた名だとさ。
真っ黒な夜の海で船が迷わんように、ダイスの旗が永遠であるように、
てめー等の繁栄を込めて」
「へぇ…なんか、素敵じゃない」
「ハッ、今じゃこの始末だ、くだらねえ。
ダイスが何で滅びたか知ってるか? 内部反乱だぜ。
オレが抑えらんなかったの。
もうそういうのオレ、疲れちまったよ、リーオさんよ」
「…」
「ラーバリスのモンてな、皆そういうのばっかなんだ。
正直、だせーよ。傷舐め合う集団なんてよ。気味悪ィ。
でもよ、それで救われたってのも、しょーもねえけど事実なんだわ。
だ~か~ら、早いとこ終わらせちまおうや? ちゃんと手ェ貸すから」
「…私、とんでもなく申し訳ないことしてるみたいね、やっぱり」
「お前の所為じゃねェだろ。それで謝るのはお門違い。
なァ、もう寝ない? その木の隅、寝転がるのに丁度いい」
「ええ?もう? まだ日も沈んで無いのに…」
「何想像してンだよ。お前をオレが襲うワケねっしょ」
「ちょっと!急ぎたいって言ったのあなたじゃない!
…ああ、ほんと、確かに賊ね。品の無さって言ったらないんだから」
エデアはもう木の傍で仰向けになっている。
幹に頭は預けないで、根のこぶに投げ出した足を乗せて。
髪に触れ、溶けだした草花が枕代わりだ。
うん、今宵の枕は結構広い。あれなら、朝一番に奇天烈な顔見なくて済みそう。
しょうがない、本日はここまで。
私も少しパンをかじってから、ひと時の眠りに落ちよう。
…夜明け?
珍しく、日が昇ってから目が覚めた。眠りの浅い私にしては珍しい。
町に伸びる街道の続く先に顔を出した太陽が眩しい。
ちらと横で眠りこけている連れを見やる。
私が起きたのに気がついたのかぴくりと動くと、
寝そべったままひどく眠たげな目を片手で擦る。
「おはよ、エデアさん」
あ。
その名が自然と口をついて出た。
Catacombes→
Supperから更に暫く経った頃?
さてこの中に一体幾つのこじつけがあるんだか。
でも場合によってはその方が、返ってそれらしくなることって
ありませんでしょうか。(気の所為?)
共通点見っけてのナンセンスギャグが好きな要因かもしれませぬ。
※細かい石をべったり…
朝、リオに"なんかついてる"と言われた時は、処理の最中を見られないよう
背を向けてさっさとこそぎ落とした後、少し多めに朝ごはんを要求します。
このヒト、ただ腐ってるだけじゃないんだわ。
肌に触れたもの何でもかんでも、腐るものなら全部腐っちゃう。
倒したキメラをわざわざ腐らせてる時は
そういうことも出来るのかと思ったけど、
普段はグローブをはめてるから、本人の意思とは無関係みたい。
身体に宿った怨念のかたまりがそうさせるのかしら?
そこそこ彼を見慣れてきた私は、
ほんの時々だけどうっかり彼に手を伸ばすことがある。
だって、顔になんかついてること多いんだもの。
寝起きに、細かい石を頬にべったり貼りつけてた時はびっくりしちゃったわ。
苦笑される時もあれば、不意だと本気で驚かれることもある。
彼にこの話をすると、大抵軽い口調で
『体質だから』って目を逸らされて終わる。
それ、結構寂しそうなのよね、いちいち。なんか、気になるじゃない。
「リーオ」
「!」
「またオレの顔になんかついてんの?」
「…ううん、何もついてないわ」
「じゃ何でこのへんボーッと見て歩くわけ、躓くぜ」
「あなたこそいつの間に後ろ歩きしてたの、そっちの方が危ないじゃない。
こけて頭でも打ちつけたら、よっぽど大惨事だわ。
流石に髪の毛は削げないでしょ?」
「へーい、へい」
エデアは飄々とした口ぶりで前方に向き直り、
逼ってきた大きな木の根を軽いジャンプでよけてみせた。
…そういえば、いつから名前で呼ばれはじめたんだっけ。
彼の分のご飯用意するようになってからだったかしら。
(おっ、えっと、ありがと、リオさん?) そうそう、確かこんな感じだった。
そして私は薄情な事に、彼の名前をはっきりとは言えないでいる。
ラーバリスで町長から数度又聞きしたきりだもの。
自分のこといーかげんなこのヒトよ、自己紹介なんて何も無かったわ。
森が開け、狭い盆地に出る。
遠目に次の町が見えた。良かった、日暮れ前に着けそう。
本部から渡されていた地図を開き、現在地を確認する。
正面に腰を下ろしたエデアが"あとどんくらい?"と素気なく聞いた。
もう数日もあれば目的地に着くと答える。
本部が調べ上げたらしい、キメラの発生源。
「でも、詳しい場所は分かってないの。
この付近に着いたら私たちで探す必要があるわ」
「あ、そう」
聞くなら、今ね。
「…ねぇ、あなたの名前の由来って、聞いてもいい?」
「何、いきなり」
「なんとなく。私、自分の名前の意味、知らないから」
「へェ?」
「記憶が無いの。師匠に拾われる前のことは何も覚えてないわ」
「そりゃ難儀なこって」
「別に、そんなでもないと思うわ。
本部の師匠の部屋に住まわせてもらってたもの。
寝食にも不自由しないし、勉学の場も与えられたわ。
これが終われば、助手として仕事を貰えるようになるかもしれないのよ。
きっと身寄りのない人達のほうが、私なんかよりもっとずっと大変だわ」
「…オレの名前はキャプテンが付けた」
「キャプテン?」
「オレ、元海賊なんだわ。…ダイス、って聞いたことあっかね?」
「すごい!本で読んだことあるわ。歴史上最も悪名高い海賊軍ね」
「…まァ、異論はねぇな。
神聖な光の女神サマにちなんで付けられた名だとさ。
真っ黒な夜の海で船が迷わんように、ダイスの旗が永遠であるように、
てめー等の繁栄を込めて」
「へぇ…なんか、素敵じゃない」
「ハッ、今じゃこの始末だ、くだらねえ。
ダイスが何で滅びたか知ってるか? 内部反乱だぜ。
オレが抑えらんなかったの。
もうそういうのオレ、疲れちまったよ、リーオさんよ」
「…」
「ラーバリスのモンてな、皆そういうのばっかなんだ。
正直、だせーよ。傷舐め合う集団なんてよ。気味悪ィ。
でもよ、それで救われたってのも、しょーもねえけど事実なんだわ。
だ~か~ら、早いとこ終わらせちまおうや? ちゃんと手ェ貸すから」
「…私、とんでもなく申し訳ないことしてるみたいね、やっぱり」
「お前の所為じゃねェだろ。それで謝るのはお門違い。
なァ、もう寝ない? その木の隅、寝転がるのに丁度いい」
「ええ?もう? まだ日も沈んで無いのに…」
「何想像してンだよ。お前をオレが襲うワケねっしょ」
「ちょっと!急ぎたいって言ったのあなたじゃない!
…ああ、ほんと、確かに賊ね。品の無さって言ったらないんだから」
エデアはもう木の傍で仰向けになっている。
幹に頭は預けないで、根のこぶに投げ出した足を乗せて。
髪に触れ、溶けだした草花が枕代わりだ。
うん、今宵の枕は結構広い。あれなら、朝一番に奇天烈な顔見なくて済みそう。
しょうがない、本日はここまで。
私も少しパンをかじってから、ひと時の眠りに落ちよう。
…夜明け?
珍しく、日が昇ってから目が覚めた。眠りの浅い私にしては珍しい。
町に伸びる街道の続く先に顔を出した太陽が眩しい。
ちらと横で眠りこけている連れを見やる。
私が起きたのに気がついたのかぴくりと動くと、
寝そべったままひどく眠たげな目を片手で擦る。
「おはよ、エデアさん」
あ。
その名が自然と口をついて出た。
Catacombes→
Supperから更に暫く経った頃?
さてこの中に一体幾つのこじつけがあるんだか。
でも場合によってはその方が、返ってそれらしくなることって
ありませんでしょうか。(気の所為?)
共通点見っけてのナンセンスギャグが好きな要因かもしれませぬ。
※細かい石をべったり…
朝、リオに"なんかついてる"と言われた時は、処理の最中を見られないよう
背を向けてさっさとこそぎ落とした後、少し多めに朝ごはんを要求します。
(09:16)
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この記事へのコメント
1. Posted by 火星人鯱 2009年07月20日 22:33
毎回楽しみに読ませていただいておりまする。
エデアさんかっこやさしいい・・・!お二人のやり取りにニヤニヤしております。
エデアさんかっこやさしいい・・・!お二人のやり取りにニヤニヤしております。
2. Posted by aru 2009年07月24日 19:06
どうしよう!頭が真っ白です。
何かお返事しようとするんですが、有難いのと怖いのと照れるのと!
一切見向きされなんだ頃のえでやんを書いておりますんで、
人外アパートで親しみ易さを念頭に置いてやっている分、
これはとっつきにくいわ、原案古過ぎるわ、
文字に慣れてないのバレバレなテキストだわで、
投稿する度に中の人も正にこんなふうになってます(笑)
(http://pixiv.cc/aruniji/archives/532704.html#more)
でも自分は凡人ですから演じきれないので、
一時間後には(早っ)後悔したり悩んだり
落ち着きなく推敲繰り返したりしますw
そんな風ですから、単純に感謝の一言では収まりません。
ありがとうございます。楽しんでいただけて幸福です。
予定ではあと残り1回、それも結構前に書いたものになるので
上手く繋がってくれるか分かりませんが、お付き合いいただけたらと思います。
何かお返事しようとするんですが、有難いのと怖いのと照れるのと!
一切見向きされなんだ頃のえでやんを書いておりますんで、
人外アパートで親しみ易さを念頭に置いてやっている分、
これはとっつきにくいわ、原案古過ぎるわ、
文字に慣れてないのバレバレなテキストだわで、
投稿する度に中の人も正にこんなふうになってます(笑)
(http://pixiv.cc/aruniji/archives/532704.html#more)
でも自分は凡人ですから演じきれないので、
一時間後には(早っ)後悔したり悩んだり
落ち着きなく推敲繰り返したりしますw
そんな風ですから、単純に感謝の一言では収まりません。
ありがとうございます。楽しんでいただけて幸福です。
予定ではあと残り1回、それも結構前に書いたものになるので
上手く繋がってくれるか分かりませんが、お付き合いいただけたらと思います。