マテエテジグ新・改!

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<有為転変・一寸先は闇・複雑怪奇>『ヘンリー六世』第3部・その4

・・・・・・滅茶苦茶遅くなりました・・・・・・

目一杯言い訳ですが、この第4幕(一応、幕でレビュー区切ってます)、ホントに書きにくくて避けてたところも~ッ!書いて行く内、文の切り口がこれまでと変わってくるかもしれませんが、何卒ご了承をば・・・(タイトルにもかなり頭悩ましました)。ではでは、始めまするぅぅ~ッ!

エドワード王とエリザベス・グレーとの性急な結婚による波紋は極めて大きく、(先のレビューで述べた)ウォリックの離反に続き、次弟クラレンスをも宮廷から去らせることに・・・度を越えた王妃の親族や側近の優遇に業を煮やしたものであるが、後々この行為が尾を引くこととなる(次作『リチャード三世』にて)。エドワードの婚姻以上の軽挙妄動。一方三弟グロスター曰く、

「(傍白)おれは行かんぞ、おれの狙う的はもっと遠くにある。」

演ずるロン・クックのカメラ目線、人差し指を頭(天?)に向ける仕草が意味深である。意味深と言えば、原作ではまだ登場していないリヴァーズ伯(王妃弟)、ドーセット侯(王妃連れ子)が早くも顔見世。エドワード側近・ヘースティングズ卿と合わせ、『リチャード三世』へとスムーズに繋がる演出上の布石が打たれている。

場面が変わるや早くも、ウォリック率いる(ルイ王から得た)フランス兵が英国上陸。そこへクラレンスも合流、ウォリックから娘の一人を与えられることに・・・ランカスター家のエドワード皇太子とヨーク家のクラレンス。紅薔薇白薔薇、両王家から婿を迎えるという、ウォリック=ネヴィル家の権勢の増大振りが窺える。もっと直接的には、夜営中のエドワードを急襲するや寝巻き一丁(失笑)の彼を捕え、その王冠を頭から外すシーンがダイレクト!更に「間を置いた」後、ロンドン塔に捕われていたヘンリーに手ずから再戴冠!まさに、後世に言う“The Kingmaker”、その面目躍如である・・・あるのか・・・???

「間を置いた」・・・そう、このヘンリー復位の前場で、既にエドワードはグロスター、ヘースティングズ、スタンリー※らに救出され、フランスのバーガンディー=ブルゴーニュ※2へと亡命に成功~。これはBBC版演出で改変した訳ではなく、原作も同じ。シェイクスピアのキツーいアイロニー炸裂!得意絶頂と見えたウォリック、ここで死亡フラグが立ったも同然・・・第1部からウォリックを演じ続けているマーク・ウィング・デヴィ。3部では台詞が増えたものの、キャラクターのインパクトはむしろ2部の方が大。思ったよりも印象残らず。

また、このヘンリー再戴冠の場には、小太りの少年が一人(もう少しイケメンな子役、用意できんかったのか・・・)。台詞一切無し。しかしヘンリー王は言う。

「もしも神秘なる力に教えられた私の予感が正しければ、このかわいい少年はわが国のしあわせのもととなるだろう。」

少年の名はリッチモンド伯ヘンリー・テューダー・・・後のヘンリー七世王である(モロネタバレですが/滝汗)。
ばら戦争期系図
エドワード脱走→挙兵の報を受け、ウォリック、クラレンスらランカスター派諸侯は兵を募りに各地へ散る・・・が、疾風迅雷、空になったロンドンへ入れ替わってエドワードとグロスターが乱入、ヘンリーはまたも虜囚に。

エドワードVSウォリック、決戦の場、コヴェントリー市のバーネット・フィールドへいざ参らんッ!!

続く。

※原作ではサー・ウィリアム・スタンリー。このBBC版でもSir Williamと一度は呼ばれているが、実のところ『リチャード三世』での主要人物の一人、スタンリー卿トマス(ウィリアムの兄)が早くも登場、と見た方がむしろ自然。レビューでは割愛したが、ヨーク市占領シーンではSirではなくLord Stanly(スタンリー卿)と。役者も『リ三』と同じくテニエル・エヴァンズ。

※2ブルゴーニュ公は元々フランス王と敵対関係(第1部の前半参照)。フランス王がウォリック=ランカスター側に手を貸せば、ブルゴーニュは自ずとエドワード=ヨークに手を貸す訳で。更に史実的裏付けとして、ブルゴーニュ家はエドワード妹の嫁ぎ先。

管理人のたわ言:何だか書き漏らしが一杯あるような・・・でもこの4幕はホント、展開ばかり早くて個々のシーンは薄っぺら。何せ6場で復位したヘンリー陛下、8場でエドワードの奇襲を受けて捕まってますし。時間にして10数分程度の復位って(爆/史実上でも半年程度ですが)。『リ三』で主に活躍する人物が続々初登場、という点がむしろ見所!?

あと、ウォリックの兄(史実では弟)モンタギュー侯が、エドワードに忠誠を誓いつつ、ヘンリー復位にはウォリックと共に・・・。シェイクスピア時代の芝居、こういう場合は寝返ることを独白なり傍白なりで(少なくとも)観客には伝える“お約束”なのですが、それが一切無しでヨーク→ランカスターへ鞍替え~。ホントに端役なので(台詞少ない)、その辺りをシェイクスピアが忘れていた???もっともその分、マイケル・バーンは微妙な表情の変化で、胡散臭いキャラクターを上手く表現しておりますが。

エドワード夜営地への攻撃も、彼が弟ウォリックに手引きしたのでは・・・と想像するのも一興♪

遅過ぎた謹賀新年(滝汗)。

寅さん寅年年賀状ネット・メール用
明けましておめでとうござ・・・もう17日だって・・・・・・。

今年も亀の歩みで(←居直りかいッ!)レビュー続けます。どうか何卒良しなに~!『ヘ六』3部レビューその4がまだだし・・・・・・・・・

結局年越し『ヘンリー六世』第3部レビュー・・・(平身低頭)。

あと30分切りました年明けまで~。

第3部レビュー上がらず仕舞いでしたが・・・アクセスの少なさをものともせず、ほぼシェイクスピアネタで通してしまいました~!(ブログとしてそれはどうなのか・・・)。

希少な読者の皆様多謝でした。

来年も(宜しければ)何卒よしなに~。
絵チャだよ改
今年最後は『ハムレット』絵で〆。

<シェイクスピア名台詞集その9「はっきり言おう、私はあんたと寝たいのだ。」(エドワード四世)>『ヘンリー六世』第3部・その3

またも釣りタイトル・・・レビュースタート(大晦日までに完結できるか果たして!?/焦)。

タウトンの戦後、スコットランドへ逃れた※ヘンリー王、ノコノコと一人(従者も衛兵もいないというツッコミどころ・・・)国境を越えイングランド側の森へ彷徨い出、そこの森番たちにアッサリ捕まるという出オチ!?特に面白味のある場面ではないが、ヘンリー王(“He is an ex-king.”と言うべきかも※2)と森番たちとの会話の中で、

ヘンリー「私は生まれて九か月で、王に即位した(中略)おまえたちは私に忠誠を誓った臣下であった、とすれば、おまえたちは誓いを破ったことになるまいか?」
森番1「いや、おれたちが臣下だったのはあんたが王だったときの話だ。」

シェイクスピア劇は、何かと大衆・庶民の軽佻浮薄を皮肉るシーンが多いが、これもその一例。ただ前回レビューでの、戦いで殺した相手が実は父親(及び息子)だったという末端兵士(平民)の悲劇もあり、支配階級の権力闘争のとばっちりが、被支配階級に及ぶのも確か。そうして見ると森番のこの変転も、戦乱の時代を生きるために身に付けた、言わば“本能(≒知恵)”ではなかろうか?真に責められるべきは、国政を左右するような、王侯貴族の気まぐれや変心の方で・・・・・・

未だ武装を解かず、ヨーク派の兵士たちがたむろする宮廷。新王エドワード四世、及びクラレンス公、グロスター公(ジョージとリチャード。以降、爵位で呼ぶのを主とする)が一杯引っ掛けているところへ、一人の未亡人登場。かの未亡人=エリザベス・グレーは、戦死した夫の領地返還をエドワードに嘆願。王は弟と兵士を下がらせ、話を聞いてやることにするが・・・“女好き”の悪癖、領地を返して欲しければ、

“To tell thee plain, I aim to lie with thee.”
「はっきり言おう、私はあんたと寝たいのだ。」

・・・と。セクハラも、ここまで来るといっそ清々しい(苦笑)。聞き耳を立てていたクラレンスやグロスターも呆れるばかり。とはいえ、そこは王の権力をフルに活用、ついに彼女を篭絡するのに成功~。だが、その見返りは夫の領地より遥かに大きく、エリザベスを正式の王妃に迎えるという運びに!!

ブライアン・プロゼローasエドワードのプレイボーイ振りが板に付く迷シーン。ただ惜しむらくはエリザベス・グレー役のRowena Cooper(姓はクーパーでしょうが、名前のカタカナ読みが分らないこのスペル。何方かお教え下さい)。如何に年長の未亡人役とはいえ・・・明らかに老け過ぎな感(爆)。演じた当時48歳とのことだが、プロゼローが39歳よりも若く見えるだけに、その差が殊更大きく見え・・・演技力重視、BBC演出のウィーク・ポイント?

・・・本編に戻る。この頃、エドワードの“後見人”とも言うべきウォリック伯は、フランス王ルイ11世(第1部登場の皇太子シャルル→シャルル7世の子)の義妹ボーナをエドワードの王妃に迎える交渉のため、不在であった。フランスとの同盟により、ランカスター派残党の反攻を抑えるというこの案、エドワード自身、それを進めるに同意&了解をしていた。故に、グレー夫人との結婚は明らかに、ウォリックに対する背信行為・・・。

当初、先に援軍要請に来ていたマーガレット(負けても負けても尚、闘志衰えず!)を鼻であしらっていたが、エドワード結婚の知らせがルイ王、マーガレット、そしてウォリック自身に相次いでもたらされ、彼のフランス大使としての面目は丸潰れとなる・・・怒り心頭のウォリックは即断、マーガレットと和解しランカスター派へ鞍替え、娘の一人・アンを、(ヘンリーとマーガレットの一粒種)皇太子エドワードに娶わせることを、その忠誠の証とする。ルイも、ランカスター派支援の兵を出すことを約する。

「(前略)彼を王座にのぼらせた中心人物はこのおれだった、だから彼をそこから引きずりおろす中心人物もこのおれだ。そうするのも、ヘンリーの不幸をあわれむゆえではない、エドワードの侮辱に復讐するためだ、ほかに理由はない。」

エドワードもウォリックも“私情”に走っているという点では五十歩百歩、第1部のトールボット卿、2部でのグロスター公ハンフリーに代表される“私心無き”愛国者は、既に過去のものとなっていた。こうしたエゴイズムを最も体現しているのが、エドワードの三弟・グロスター公リチャードである。

ヘンリー捕わるの報が入り、喜びの内にエドワード王始め全員が舞台を去った後、グロスターは初めて本心を吐露する。究極の目標は玉座・・・しかしながら、その前には長兄エドワード王、次兄クラレンスがあり、ランカスター派のヘンリーや皇太子エドワードも尚健在とあっては、彼に王位が回る確率は極めて低い。グロスター自身そのことは認識しており、「いざとなれば血まみれの斧をふるって道を切り開くまでだ。」と言及している。

とはいえ、グロスターには持って生まれた権謀術数の才があり、それはサマセット(第2部)やクリフォード(第3部)を討ち取った、武人的な力量以上かもしれない。

「そう、おれはほほえみながら人を殺すことができる、胸底では悲しみながら「嬉しい」と叫ぶことができる、いつでも空涙で両頬をぬらすことができる、どんな場合にも応じて顔つきを変えることができる。」

これが決して法螺でないことは、次作『リチャード三世』に至るまでの道程で、明らかになって行く。不具(彼はcrookbackである)の反動がグロスターの性格を歪ませた、という見方もある。確かにそれも一因ではあろうが(女にモテないという言も)、頭の切れる彼にとって、周囲の無能な連中が自分と同格、あるいは高位にいるのが我慢ならない、という側面も。(智謀に長けた)父・ヨークに対しては忠実に従っていた辺りが、その証左と言えよう。故に、父という強力な“箍”が外れたことで、その野心が顕在化したと。

ロン・クックのグロスター公リチャード。気短ながらも、シニカルに周りを見渡す冷静さも併せ持つ、不思議な魅力を発揮し始める。マーガレットとウォリックの同盟以上の、この第3部のターニング・ポイントである。

続く。

※今更言うのも何であるが、薔薇戦争頃の英国では、スコットランドは尚、自らの王を持つ独立国家であった。アイルランドやウェールズをもほぼ支配圏に押さえた、イングランドの優位は揺るがないものであったが。

※2『モンティ・パイソン』のスケッチ(≒コント)の一つ、“死んだオウム”での会話(元ネタ“This is an ex-parrot!”「これは元・オウムだ!」)から。

管理人のたわ言:あと二幕分かあああ・・・ッ。

今回挿絵も無く味気なかったのでオマケ。





・・・どれも後のエドワード四世陛下である(爆)。ブライアン・プロゼローって元々は歌手だったんですね~。三つ目の“Bavarian Night”のノリなどは、『モンティ・パイソン』のネタかと思いましたよ(笑)。

ゴリラーマンがシェイクスピアを!?

明日発売のビッグコミックスピリッツより。

http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20091213mog00m200013000c.html
http://spi-net.jp/this_week/yokoku.html

毎日新聞サイト及び本誌サイトの情報より。来年映画公開の『BECK』というのは、正直知らなくて(汗)。やっぱりハロルド作石と言えばゴリラーマン!あんな顔のシェイクスピアだったら嫌だなあ(苦笑)。

先ずは第1話、お手並み拝見と行きますか。

・・・へ六第3部レビュー、あと三幕分も残ってる・・・年内にできるのだろうか!?!?!?
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