何だかモロに『STAR WARS』のパチモンのような・・・(汗)。とっとと始めます。

累々たる死骸の山のアップに、『HENRY part3』と書かれた覆いが被せられる。そして、封鎖された宮廷(議場)に乱入するヨーク派の面々。ヨークが玉座を占め、3人の息子とウォリック伯、ノーフォーク公(劇中では台詞も登場シーンも少ない端役であるが、ヨーク派有力諸侯の一人)が脇を固める。そこへ、一足遅れでヘンリー王とランカスター派諸侯が乗り込み、劇序盤から緊張が走る。
ヨークの挙兵。
謀反人即座に討つべし!と血気盛んなYoungクリフォード卿(第2部で戦死したOldクリフォード卿の息子。以降単にクリフォード卿と表記)らと対照的に、ヘンリー王は話し合いで解決しようと試みる・・・どこまで空気読めてないんだ、この御方は(苦笑)。それを聞いたクリフォード達の「またかよッ!」という顔が何とも・・・。

ここでまた例の(あの面倒臭い)系図上の論争が再燃するのであるが、第1部や2部程のまどろっこしい話はナシ。ばら戦争期系図(1部二幕五場)ヘンリー王の主張:祖父ヘンリー四世は、リチャード二世から王位を禅譲された。故に(嫡孫たる)我が王位は正統である。
ヨーク側の主張:たとえ、リチャード二世から(当時は)ヘリフォード公=ヘンリー四世への王位継承が強制でないとしても、次の王位継承者(マーチ伯モーティマー)を飛び越え、ランカスター家に王位が移るのは言語道断。モーティマー亡き今、彼の一番の近親こそが王位への正統な権利を有する。即ち、ヨーク公リチャード・プランタジネットその人である。

・・・ご理解頂けただろうか(汗)。ランカスター側のエクセター公(注:第1部のエクセターとは別人。脇キャラ役者デレク・ファーが、またも気の弱い老人役~)は、ヨークの権利に正当性を感じ動揺を見せるが、一方クリフォードは、王位には関係無く、父の仇にひざまずくことは無いと明言・・・いや、これは迷言。「王」という公的なものではなく、「父の仇」という私的な理由が優先ってダメだろ(苦笑)。ヘンリーの弱腰姿勢から出た台詞ではあるが(王妃マーガレットや皇太子に対しては一貫して忠義に働く)、最早冷静な“話し合い”の場は尽きた、ということを象徴したシーンと言えよう。

痺れを切らせたウォリックが合図。ヘンリー達はたちまち、議場各所に伏せられていたヨークの兵に取り囲まれる。そしてヘンリーはついに(否、アッサリ)、自分が死んだ後の王位継承を、ヨークとその子孫に認める。和議が成立、ヘンリーは暫定王の地位と引き換えに、皇太子を廃嫡。ヘンリーのこの仕儀にクリフォードらは当然大激怒、捨て台詞を残してこの場を去る(エクセター除く)。方やヨーク達は喜々として、自領やロンドンの守備へと引き上げる。

傷心の王の元へ、血相変えて真打ち・王妃マーガレット(及び皇太子)登場。エクセターなど最初から逃げ腰。一緒に妻から逃げようとするヘンリーもヘンリーだが(泣笑)。以後、ジュリア・フォスターasマーガレット劇場が今宵もまた(爆)・・・一頻り怒った後、ランカスター派を再結集し、ヨーク追討の兵を挙げることを宣言。divorce(離婚!?)という単語まで飛び出し、ヘンリーは妻から逆三行半を出される始末(涙)。 

所変わってヨークの居城サンダル。和議に不服があるのはヨークの息子達も同様。ヘンリーを廃し、すぐにも王位を奪取すべきと父に進言。当初(和平の)誓約を破るのを潔しとせず、という態度のヨークであったが、三男リチャードの「誓約をすべき相手=ヘンリーは簒奪者であり、誓約そのものが無効」という論理に乗り、兵を密かに動かそうと画策・・・三男リチャードの頭の回転の速さが際立つ。2部でサマセットを討った武人としての手際もさることながら、知略(悪知恵~)にも長けた面を見せる。説得に耳を貸すヨーク=バーナード・ヒルの表情の変化にも注目。

しかし先手を打ったのは、マーガレット率いるランカスター派の北部貴族連合軍。2万の軍勢でサンダル城に迫る。対するヨーク軍5千。2部までは、石橋を叩いて王位への道筋を付けて来たヨークであったが、自らの名誉欲と周囲の盛り上がりに押され、城を出て一勝負を・・・。

ウェイクフィールドの戦い(史実では1460年12月30日)。結果はランカスター派の大勝利。ヨークは捕われ、3人の息子は敗走。末子ラットランドはクリフォードの凶刃に斃れる。このクリフォードとラットランドのやり取りが・・・「お前の親父は俺の親父を殺した。だから貴様も殺す。」という、クリフォードの無茶苦茶な三段論法もさることなら、ラットランド少年(劇中では末子で子供だが、実際は次男で当時17歳)もスゴイ。「仕返しなら大人の父にして下さい、僕はまだ子供だから助けてッ!」・・・こんな子供嫌だな・・・兄3人も性格に難有りだが、この弟もどうだか。

虜囚となったヨークに対し、マーガレットによるドキドキSMショー・・・ではなくて!(いかんいかん、真面目な読者がお怒りに/滝汗)凄まじいばかりの嘲弄が始まる。ヨークをモグラ塚に立たせると、「その男は山(=王位)をつかもうとして両腕を伸ばしたものの、やっと手にしたのはその影、モグラ塚にすぎぬ(以下略)」と、痛烈な皮肉。これはまだ序の口。次に取り出したるは血染めのハンカチ・・・クリフォードが刺した、ラットランドの血糊にまみれた。これでヨークの顔を拭う(エ、エグ過ぎ・・・)。トドメは王冠!但し紙の。マーガレット“王妃手ずから”ハサミ(ナイフ?)でそれを切って作る様(ジュリア姐さん愉しそう・・・)は、このシチュエーションではただただグロテスク(怖)。それをヨークに被せて言うには、

「ヨークに王冠を!諸卿、さあ、最敬礼なさい。」

イジメもここまで来ると堂に入ってると言うか・・・そして、ここまで無言のヨーク、死の間際の最終ターンに。感動の長台詞(本当に長いので、申し訳ないが割愛※)に、敵将の一人で(クリフォードと同じく)父を討たれたノーサンバランド伯が、恨みを越えて思わず貰い泣き。そんな同情禁物!とばかりに、クリフォード、そしてマーガレットが相次ぎヨークを刺す。

「慈悲の門を開きたまえ、恵み深い神よ!わが魂はこの傷口からあなたのもとへ飛んで行きます。」

第1部から活躍を続けたヨーク公爵リチャード・プランタジネット、ここに死す。
ヨーク忌中
・・・チーン・・・続く。

※この、ヨーク嘆きの場面で特に有名な一節が、

“O tiger's heart wrapp'd in a woman's hide!”
「ああ、女の皮をかぶった虎の心!」
(小田島雄志訳。尚、レビュー内の訳文は全て小田島訳。但し「」文には私の要約文も時々混ざってるので・・・)

シェイクスピアの先輩作家ロバート・グリーンが、その著書『なけなしの知恵』で、

“Tygers hart wrapt in a Players hyde”
「役者の皮で虎の心をくるみ」

と評している部分があり、表現的に、上記のシェイクスピア台詞のパロディだと言われている。これを書いた頃のグリーンは既に落ち目で、死の床に着いていた。劇作家兼役者として、当時人気急上昇中だったシェイクスピアを嫉妬したものと、研究者の間ではよく取り上げられている(異説もあり)。・・・来年は寅(虎)年。これで年賀状の文章&図案は決まりましたね、皆さん(←縁起でもないって!)。

・管理人のたわ言:何とか11月中にスタートできました・・・。3部はとにかく合戦シーンが多いので、その辺をどうレビュー化するか、まだまだ試行錯誤が続きます~~~。